昭和四十五年二月十日　朝の御理解

X　御理解第七十八節　「神の機感にかのうた氏子が少ない。身代と人間と達者とがそろうて三代続いたら家柄人筋となって、これが神の機感にかのうたのじゃ。神の機感にかなわぬと、身代もあり力もあるが、まめにない。まめで賢うても身代をみたすことがあり、また大切な者が死んで、身代を残して子孫をきらしてしまう。神のおかげを知らぬから、互い違いになってくる。信心して神の大恩を知れば、無事達者で子孫も続き身代もでき、一年まさり代まさりのおかげを受けることができるぞ。」


　人間と身代を達者とが揃うて、しかも三代続いたら神の機感にかのうた氏子じゃ、と。合楽の場合、私共、ほとんどの方が、言うなら、初代的信心を頂いておられる方ばっかりだと、こう思う。ですから、それが子供に孫に、一年勝りのおかげに代勝りのおかげにつながってゆかなければならん。
　ですから、私共が、この信心、こうゆう心の状態、こうゆう信心をさせて頂いておるとゆう事がです、果たして二代三代に伝えられるだけの内容を持っておる信心かとゆう事を、確かめた上にも確かめておきませんとです、只、自分よがりに、子供にも孫にも伝わるだろうと、思うておるだけではいけんでしょう。
　それは、随分、私共が知っておる範囲内での古い御信者さん方の大変なお徳を受けなさった、力を受けなさった、おかげを受けなさった、と言われておられる御信者さん方がです、それを子に孫に伝えきっておられない。いわゆる年勝り代勝りになっていない。
　当時、その方達は、自分の信心こそ、子にも孫にも伝わるもんだと、自信を持っておられたかもしれない。けれども、どこからか間違うておった。私は、その確かめが出来ていなかったんだと思うのです。
　自分の信心、この生き方、この内容なら、いわゆる人間と身代と達者とが揃うて、おかげの受けられる信心であるとゆう事をです、確かめておかなければならないし、又、それを確かめ確かめ信心を進めてゆかなければなりません。
　でないと、何代例えば信心をしよってもです、そこんところの二代三代とゆう信心に、やはり金光様の〔御〕信心は、続いておると致しましてもです、代勝りになっていない。
　「子孫も続き身代も出来」と最後に、おっしゃておられますけれども、身代も出来ていきよるふうじゃない。子孫も続いていない。又は、子孫が続いておっても信心が続いていない、とゆうようなのがあまりに多いんですよねえ、お道の信奉者の中に。
　ですから、信心はしとりましたがとゆうだけであってですね、そうゆう人間と身代と達者といったようなものが、その人の信心内容にです、無い事を物語っておると言うてもいい訳ですから、そうゆういろいろな尊い体験と言うか、先輩の人達がです、やってみえられたところの信心とゆうものの中にですね、私どもは、間違いのない、いよいよ信心をね、頂いてゆかなければならんとゆう事になります。
　そこで今日は、私共は初代、しかも、それが子に孫に伝えられると、しかも伝えられるだけではなくて、年勝り代勝りのいわゆる、一年勝りの代勝りのおかげの受けられる内容を持った信心をです、確かめていかなきゃ。
　それには、やはり自分自身がです、年勝り代勝りのおかげを頂いて、この調子でいけばです、この調子でいけば、一年勝り代勝りのおかげが受けられるぞと。この調子でいけば、人間も出来ていくぞと、健康のおかげも頂かれるぞと、無事達者でとゆうおかげも受けられるぞと、ゆう確信が出来ていくような信心でなからなきゃならん、とゆう事を目指さなければならん訳ですね。
　大恩を知ればと、中々ここが難しいところです。為にはね、無事達者でないとゆう事。言うならば、難儀から難儀の中にあるとゆう事。そうゆう私は、難儀なら難儀からの、難儀の中にあって、おかげを受けて初めて神の大恩が、段々分かってくるんじゃないでしょうかね。
　小倉の初代であります桂松平先生が、お商売をなさる。よその店員として勤めておられた。ある【　】の時に、集金に行って、どうしても集金が寄らない。行ってみられると、なる程、これは、その集金を取り上げ、お金を取り上げて帰るという事は、可哀相な気の毒な、だから、それを集金を棒引きにしてみえられたちゅうんですね。
　しかし、ある意味で大胆なお方だったと思うんですねえ。自分の商売、自分の集金でもないのに、主人のところのですね、いわゆるお店に、それを相談もなさらずに、やはり、棒引きをしてきなさったちゅうんですからねえ。まあ、その辺のところは、一寸私共は、理解に苦しむような感じが致しますね。
　さあ帰られたら、もうそれこそ御主人から、もうそれこそ大変な悪口雑口言われて、商売人が、そうゆう事で立つかと。こうゆう男は、もう、うちにはいらんから、表に抱え出せと言うて、他の店員さん達からですね、抱え出される程の事だったらしいんです。
　まあ考えてみると、人間的に考えると、それが本当かもしれませんよね。主人に相談もせんのに、あなた、集金に行って、気の毒だから可哀相だからと言うて、棒引きにしてきたち言う訳です〔から〕。
　けれど、そこが、又、先生は律義なところがあって、それを自分が支払う、自分が支払うと。自分は、こうゆう事情で、事情を聞かせてもろうて、とても今、この人のうちから、これだけのお金を取り上げるとゆう事は、無理だと。だから、後の事を、まあ言うなら励まして、棒引きをしてみえたんでしょうねえ。御伝記にはっきり、そうゆう事が書いてございます。
　ところが、やはり金額の程は分かりませんけれどもです、相当、やっぱその当時大金だったに違いありませんね。それは、そんなら向こうが払いきらんなら、自分が払うて返そうと、ゆうふうにおっしゃられたのかもしれません。そして、その事に工面をなさったけれども、とうとう工面が出来ず、それで主幹に対して、いわゆる御主人に対して申し訳ないと言うて、命を捨てられる覚悟をなさいます訳ですね。そして、最後のお別れに、御本部におい出られて、二代金光様四神様の御時代である。
　金光様の御信心が段々、有り難い事が分かってみえられてからの事でございますからね。〔それで〕、御本部におい出られまして、金光様の御取次を願われて、言うなら、永のお別れになる、お別れを心の中で心中祈念をなさってから、御結界に進まれますと、四神様が御結界奉仕をなさっておられたが、スッと立たれてから奥に下がられた。
　そして、下がられて暫くすると、封筒に何やらを入れて、その封筒を手で叩きながら、「目の上のハエはこれで払え」と、おっしゃた。封筒の中に何かを入れておられる。そして、この封筒を手で叩きながら「桂松平、目の上のハエはこれで払え」と、おっしゃた。
　そして、帰りに、「持って来ておる長崎鞄の中に入れてある物は、周向灘で捨てて帰れ」とまでおっしゃた。帰りには、周向灘で投身自殺をする覚悟であった。中には短刀が入れてあった。短刀で、まあ、喉笛でも突いて、そして海の中に飛び込もうとゆう覚悟をしてみえておられた。
　四神様は、そのことを言わば、お見通しであった訳でしょうね。「桂松平、目の上のハエはこれでおえ」と、何やらお下げなられた。そして長崎鞄の中に入れてあるものは、帰りに周向灘で捨てて帰れ」と、おしゃった。
　それを、おし頂いて、〔宿に〕帰られて、宿に引き帰られて、その封筒を御覧になりますとです、丁度、自分が主人のお店に返さなければならんとゆう、きっちりそれだけの金額が入れてあったと。「目の上のハエをこれで払え」とおっしゃったのは、その事だったらしい。
　再度、お広前に出られてから、四神金光様にお礼を申し上げられる。「金光様、昔、桜壮五郎とゆう人は、七たび生まれ変わって、この恨み晴らさでおくものかと、言うて死んだそうでございますが、桂松平は、それこそ七たび生まれ変わって道の為に尽くします」と。
　後に、言われる七生報教ですね、桂先生の七生報教と言われる、「七たび生まれ変わって道の為に尽くします、この大恩に報います」と言うて、お誓いをなさっておられます。
　ですから、四神様と言えば九州の大恩人。いわゆる、桂松平の大恩人であるならば、九州の信奉者の全部が、桂先生の御信心の流れを組んでおる〔九州の道〕の者全部が恩人でるはずだ。だから、九州の大恩人として、生神金光大神様をお唱えすると同時に、生神四神貫之乃君様を、お唱えするようになったのです。
　それが、例えば奥様であるところの二代の先生の上にも伝わっておる。いわゆる、金光教で言う、金光教の言わばお家騒動とゆうったような事件がありました時に、本部の方から教祖生神金光大神は拝まにゃならんが、四神金光大神を拝んじゃならんとゆう強いお達しが、偉いお使いの方がみえて小倉にみえた時に、もう桂先生は亡くなっておられた、二代の奥様がお会になられた。
　そして、そのことを聞かれてから開口一番言うておられる事が、「ここを桂松平のお広前と思うておい出られましたか」という事だったそうですね。桂松平が、どの位に四神様を大恩人として頂いてきたか。その四神様の御名を唱えてはならんとゆう事は、桂松平の言わば、お広前と知っておみえられたか。もうそれこそ、本部からの、そういう大事なお使いを剣もほろろに、言わば追い返されるように返されたという事です。四神様の御名を唱えてから、教会が取り潰しになるなら、それでも結構だと、こういう訳なんです。
　いわゆる大恩を感じる事になると、そのような事になってくるんですよ。ですから、大恩を知れば、無事達者でと、こう言う。ですから、私どもは神の大恩を知る、例えば、《桂先生》は、自分の命の大恩人でおありになるところの四神様をです、大恩人とされ、しかも、その大恩人である四神様に七生報教を誓われた程しの事になって、その事が小倉の教会の働きの根本的な、いわゆる原動力になっておる。
　ですから、その大恩を知るという為にはね、やはり私共がおかげを受けなければならない。ここに、無事達者で言うておられる、その無事達者でないとゆう事。言うなら、難儀から難儀の中にあるとゆう事。その難儀から難儀の中にあってです、神様の間違いなさを分からしてもらう。
　あの時には、あのように助けて頂いたと、おかげを頂いて初めて神〔様〕の大恩とゆうものが分かるものです。話を聞いた位の事で分かるはずはなか。
　その人の言わば、今日のこれは、身代も出来、一年勝り代勝りのおかげの受けられる原動力になる程しの信心、その原動力になる程しの大恩の感得。
　感じとらせて頂くとゆう事は、桂先生が無い命を助けて頂いて、それからの信心。桂松平の、言わば命が、四神様への御恩返しの為に行使（ぎょうし）されたと言うていい訳なんです。
　そこにです、私は、年勝り代勝りのおかげがです、九州の道の上にこのようにして表れておる元なのです。
　だから、なる程、大恩を知るとゆう事、大恩を知るとゆう事はです、本当に無い命を助けて頂いた、とゆう程しのですおかげを私は実感してです、頂く為には、やはり無事達者でないとゆう事。様々な難儀に取り組ませて頂いて、その難儀の中からです、あの人に頼んでから通り抜けた、この人にお願いしてから道が開けたといったようなのじゃなくて、神様のおかげでそれが頂けたんだ、開けたんだ、と分からせて頂くところに、神の大恩をゆうものが私は、身をもって感じられ、頂けるんじゃないかとゆう事なんです。
　昨日は、恒例の久保山先生の所の謝恩祭でした。本当にそれこそ一年勝り代勝りにです、おかげを受けておるなあとゆうその事がです、お祭りにも本当にはっきり表れておる程しのお祭りでした。
　昨日、私、こちら〔に〕帰って、皆んなあちらからお母さん〔を〕初めしげるさん達兄弟でお礼に出て参りました時に、「お疲れだったでしょう」（笑）って言うから、「もう今日はいっちょん疲れじゃった。もう十日ぶりにお風呂にあちらで入らせて頂いてから、今日はもうスッキリしてからであったが、おかげでひとっつも疲れなかった。
　というのはね、あなた方が、あのお祭りを仕える為に家族をあげて一生懸命になっておられる。一生懸命に真心が結集されておるからね。もう、そのお祭りを、それを仕えさせて頂く私は、実に楽だった、疲れもなかった」と、言うて申しました事でしたけれども、本当にそうです。もう、こんな楽な事はないです。真心いっぱいでの信心がでけておる。その御取次をするのは、もう実に只有り難いばかりです。
　けども、そこを私がなり変わってお詫びをしなければならない、私がなり変わって修行致しますから、とゆう事になるから疲れるんです。そうでしょうが。自分の修行もなあもせんのに、どうぞ宜しゅうお願いします、と言うてやっぱおかげ頂いて＜なあもならんから＞、その変わり私が修行致しますから、という事になる訳です。
　真心、真心って、いっちょん真心も使わずにしといてから、どうぞお願いしますと言うから、私が変わってお詫びをせんなならんじゃないですか。だから疲れるのです。もう、そういう意味で、本当に私は、もう昨日、いっちょん夕べは疲れじゃった。又、事実そうです。もう、すがすがしい位でした。
　いわゆる、言うならば、こういう生き方がいよいよ育っていけばです。いよいよ育っていけば、これは一年勝り代勝りに、おかげが頂けていけるなあという位のところが、今、頂けていきよるんです。＜これを、同じゅうしてみれば＞子供達が嫁達が、又は孫達が、あのようにして信心にも一生懸命ついて来るんだ。このままでいけば、神の機感にかのうた氏子としての値打ちが段々でけていきよるという事が、あのお祭りを見ただけで、家族中の者が集まって、あの程に真心込めて一生懸命になっておる、あの姿を見て、今日私が言う、初代としてのですね、内容が段々でけてきよるという感じなんです。
　そこでです、その大恩を大恩として分からせてもらうとゆう事。神の大恩を分からせてもらうとゆう事がです、ほんなら、どのような信心をさせて頂いたらとゆう事が、昨日、あちらでの御理解でした。
　み教えに、「天にまかせよ、地にすがれよ」と、ゆうみ教えがあります。「天にまかせよ、地にすがれよ」と。
　私は、そのみ教えの持つ響きとかゆうものがですね、もう、いよいよの時まさかの時、私が善導寺の原さんに、昌一郎さんがもう今日か明日かと言われる程しの大病にかかられた時に、もう半分な死んどる、半分な諦めとるとお父さんが言うてお願いにみえた時に、半分がしまえて、半分が諦めとるなら、もうしまえてしもうとるじゃないかと。そんな事言わずに、帰って【　　】裏の畑にどん座って、天地に縋んなさいち。天に任せて、地に縋りなさいち。
　そうゆう、せっぱつまった時にです、それは大変な響きをもって、原さんにも伝わったでしょうが、私自信、それを伝える私にもです、素晴らしいみ教えだなと思うたんです。もう、どうにもこうにも出来ない神様の前に手を上げなきゃ仕様のない時なんですから。だから、大地にどん座って、縋りなさいち。天に任せなさい、そして地に縋んなさい。
　とゆうように私は、昨日迄です、そんな響きを持って、そのみ教えを頂いておりましたが、昨日、久保山の所で頂きます御理解を頂ますとですね、そうじゃないんだと。天に任せて、地に縋るとゆう事は、もう日々がそれなんだ。もう、親先生に御取次を頂いたけん、もうそれでよいとゆうのは、天に任せた姿なんです。
　だから、天は限りなく、おかげは絶対なものとして下さる。それこそ、降っておる、おしめりのようにです。もう、間違いなくお恵みは下さる。天に任せて、任せるとゆう事は。
　けれども、神様は、絶対に間違いなく、おかげは下さるんだけれども、それを受け止めさせて頂くとゆう事は、どうゆう事かと。神様は、間違い無しにおかげ下さっているけれども、それを受け止めきらないとゆう事なんです。おかげが頂けなかったとゆうのは。
　だから、言わば大地、地にすがれとゆう事は、神様が絶対に下さるそのおかげを絶対に頂かせてもらうとゆう、大地にひれ伏しての信心。言わば、地に縋れとゆう事は、願い願い願い込んでいくとゆう事。
　してみると、もう、お願いしたけんで、親先生にお願いしたから大丈夫といったような、なる程、おかげを受けましょう。受けますけれどもですよ、それではね、今日、私が言う、いわゆる神の大恩を知るとか、人間と身代と達者とが三代揃うてと、信心が出来たら神の機感にかのうた氏子じゃと。その神の機感にかのうた氏子じゃとゆう初代的な私共は、信心の立場にあるから、私共がまず、そこんところを頂かなければならんじゃないかとゆう事なんです。
　まず人間と身代と達者〔と〕が、まず私に頂かなければ、それが子に伝わり、孫に伝わっていくとゆうおかげにならなければ。私共が知っておる多くのお道の信奉者の、私共の先輩と言われる方達がです、あのようなおかげを受けられ、あのような信心をしておられたのにもかかわらず、子供にも孫にも伝わってはいないではないかとゆう事実が、あまりにも多い。
　してみると、その人がしておられた信心とゆうのはです、子供に孫に伝わるだけの内容を持っていなかったからだとゆう事になる。
　そこで、私共がこうして身に付けていっておる信心がです、果たして、子に孫に伝えていけれる可能性があるかどうかとゆうことを確かめていけ。それを、今日は、私は、神の大恩を知る為には、桂先生がです、四神様に実際に命を助けて頂かれた、その感動がです、その感激が、一生道の取次者としての、お覚悟が出来られ、しかも九州にこのような道が開け、その元であるところの四神様の御神徳、四神様の御信心によってなされた事ですから、四神様に向かわれてです、この御恩は一生どころか、それこそ七生、生まれ変わって、この御恩に報い奉りますとゆう程しの、大変な信心になってきた。
　命を助けて頂かれたから、おかげを受けられたから、だから、おかげを受けなければならんとゆう事なのです。それも、おかげの内容がです、今日、私が言う、天に任せて、地に縋らせて頂くとゆう信心がです、日々出来る。そうゆう信心が、これは、そういう例えばまさかの時に、いよいよの時といったような厳しさじゃなくてですね、もう日々がです、お参りをさせてもらう、お取次を頂く、そして、そこにお任せしきった心。
　とゆうて、あんかんとしておるのじゃない。そのおかげを頂かせて頂く為に、大地にひれ伏すような実意丁寧な信心をさせてもらう。そうゆう信心の私は繰り返しから生まれて来る体験、それが、私は神の大恩が、いよいよ分かる事ではなかろうかと、こう思うのです。でしょうが。
　だから、そうゆう内容を持って、皆さんがおられるならば、あなたの信心は、もう絶対間違いない、子供に孫に伝わる。あなたの信心は神の機感にかなう信心に段々なってきよる。一年勝り代勝りにおかげが現れてくるだろう。そして、このままを子供に伝えていけば、子供が又、孫に伝えるであろう。そこにです、神の機感にかのうた家柄人筋となって、といったようなおかげになってくる訳なんです。
　その初代的、私どもは信心の確立とゆうものをです、しておかなければならないとゆう事。そうゆう基礎を間違いなくしておかなければならない。只、お願い〔を〕して、おかげを頂いた。金光様ちゃ、あらたかな神様じゃあるとゆうようなだけの信心が、いかに分かっておっても、それではいけないことをはっきっりです、私共の先輩達は残しておられます。
　私どもが知っておる多くの例えば、お道の信者信奉者と言われる方達がです、お父さんの時には、ああゆう信心をなさっておられたのに、子供さん達は、もう影もない、ほろけもない。勿論、信心は続いてないといったようなです、事実を、まの当たりに私どもは見てきているから、だから、これじゃいかんと、お互いがひとつ知らにゃいかん。それには、今日、私が皆さんに聞いて頂いておるようにです、天に任せて、地に縋るとゆう信心の内容とゆう事がです、これが日々繰り返される。
　そこにです、お道の信心させて頂く者の値打ち。この任せきれる有り難いさ、任せられる人がある、神様が頂いておるとゆう事が有り難い。それを、任せっぱなしではなくてです、地に縋れと、こうおっしゃる、地に縋り貫いての信心。
　私は、昨日、その事を申しました。最近、共励会なんかにまいりますと、おかげ話なんて、お願いする信心なんてん言うちゃいかんとゆうように言われます。そうですねえ皆さん、信心が分かれ、信心が分かれと、けれどもおかげを頂かなければ神の大恩は分からんち。＜それを＞願わにゃいかんち。
　昨日、私、四時の御祈念させて頂ます時にね、頂きましたのが、三代金光様のお言葉の中に、「願い以上のおかげを受けとります」と、おっしゃる。
　ある参拝者に対してから、丁度戦時中の事でございましたでしょうね、その言葉が下がったのが、「今、ここの上を飛行機が飛んでおりますなあ」と。あの飛行機の爆音を聞きますと、どうぞ、あの飛行機が無事で目的地に参りまして、又無事に帰還が出来ますようにと願うのじゃ」と、おっしゃた。
　「子供さんが泣いておられますな」と。「何かむずかっておられるところには、何か苦しい事があるだろうから、どうぞ苦しみを和らげて下され、と言うて願いますのじゃ」と、おっしゃった。そして、「いつも願い以上のおかげを神様は下さいます」と、おっしゃった。
　いつも願い以上のおかげを神様は下さいます。問題はここですよねえ。三代金光様ですらが、そのように例えば、飛行機の爆音を聞かれては、子供の泣き声を聞かれては、もうそこに縋っておられる。それが、縋るとゆう事。天地に縋るとゆう事は。
　しかも、その縋られた事がです、縋った事以上に、いつもおかげを受けておるとゆうところに、素晴らしさがある。
　私どもが願うてです、願うておかげが受けられる。願うた通りのおかげが受けられた。それじゃ、いかんのです。願うた以上のおかげが頂けれるような信心を、お互いが身に付けていかなければいけません。為にです、もっともっと縋らなければおられんのであり、願わなければおられんのである。
　願わんでも、私がいつも表現がまずいから、そんなふうに申しますけどですね、願わんでん、頼まんでん神様はおかげ下さるという事を申しますけれどもです、それはね、願わなければおられない切実な心とゆうものが、願うて願うて願いぬかせて頂いてです、願い以上のおかげを下されて、初めて私は、いわゆる願わんでも、頼まんでも、その願い以上のおかげのところをです、願わんでも、頼まんでも、と、頼んどらんでしょうが、全然。願い以上のところは頼んどらん。
　例えば、ここに千円の金がいるなら、どうぞ千円のお繰り合わせを下され、とゆう事は願っておりますよ、いつも。ところが実際は、千五百円頂いとる。だから、この五百円のところは願わんでも、頼んでも頂いているおかげでしょうが。
　だからね、例えば痒いなら痒い、痛いなら痛い、金が足りんなら足りないところを、切実に祈らにゃおられない。皆さんが、ここへ出て来られる時には、道中のことを願わなければおられないでしょう。又、帰る時にも、道中の事を願わなければおられないでしょう。又、そうゆう信心にならなければ駄目。そうゆう信心を、私は地に縋る信心だとゆうふうに思うものですよ。
　だから、そうゆう地に縋るだけの信心ではいかん。縋ったからには任せるとゆう、天に任せてとゆうところが要るのです。でないと、不安で不安でたまらん。天にまかせて地に縋れよ、とゆう信心。そうゆう信心の内容がです、段々育っていっておるとするならばです、あなたの信心はもう間違いなく、子にも孫にも伝えられる。
　そして、あなた、言わば初代のあなたがです、人間も出来るだろう、身代も出来るだろう、無事達者のおかげが受けられるだろう。しかも、昨年よりも今年とゆうように、おかげがみえてくるだろう。このままをです、子供に伝えていけばよいのだと、このままを孫に、又伝わっていく事に違いないとゆう確信も出来て、有り難いことになるのである。
　大恩を知れば、無事達者で子孫も続き身代も出来、一年勝り代勝りのおかげを受ける事が出来るとゆう事を、ここんところを今日は焦点にして、聞いて頂いた訳ですねえ。
　そして、私の信心がです、初代的要素と神の機感にかのうた氏子とおっしゃる、その初代的要素とゆうものを、私共が持っているか持っていないかとゆう事を、確かめなければいけん。
　いやあ私は、合楽に二十年参りよりますけんだけではいかん訳なんです。
　その内容を今日は、天に任せて地に縋るとゆう信心が、日々出来ておるかとゆう事を申しましたですね。どうぞ。